でんでんむしとわたくし
またしても筆者のもっとも忌諱するところの外人飯となってしまった。
日本人 x 2、イギリス人 x 3、トルコ人 x 3、ベルギー人 x 1
という妙な取り合わせで、日本人のもう一人がトルかまであるところが、悲しいところである。
しかも、会場は「シェ・なんとか」いう筆者の嫌悪するかえる料理である。
仕方なく筆者はスープ+本日のおすすめ料理程度の無難な線でまとめたが、トルかまは、前菜にでんでんむしを頼み、
「めっちゃ、ウメー!」
と言いながら、馬のようにでんでんむしを食い倒している。
傍で見ていて恥ずかしくなるような意地汚さである。
言うまでもなく、食い物に関しては“やらずぶったくり”のロンドンで、しかもかえる料理ゆえ、普通の味覚をしていたら、うまいわけがない。
適当に食し、食後のコーヒーだけ飲んで、一食損した気分である。
餓死寸前の筆者である。
その後、静かなバーでトルかまに説教をたれていたら、あのおかま突然いなくなり、いつまでたっても帰って来ないのである。
得意のトンヅラかと思っていたら、20分ほどしてようやく呆けたようなツラで帰ってきたトルかま曰く「でんでんむし大当たり」らしい。
「でんでんむしが7匹そのまま出ました」
とほざいておる。お食事中の方ごめんなさいである。
かくしてトルかまの日頃の筆者に対する所業に対し、ついにアラーが罰を与えたと理解すべきであろう。
なぜなら、トルかまのスキをついて、でんでんむしを1匹こっそりパクッた筆者であるが、読者の皆様よく御存知のように、筆者的には“ガラスの胃”と言われるほどデリケートな胃をしているにもかかわらず、当然なんともなかったのである。