チュニジアのわたくし | 昨夜のわたくし

チュニジアのわたくし

チュニジアの首都チュニスにやってきた筆者である。


夏の盛りのチュニスは、気温40度を越え、道端で気絶しそうな暑さである。

しかしながら、(短パンにビーサン~+ランドリーバッグ~で海外出張するトルかまと違い)いついかなる時も身だしなみに気を使う筆者は、気温40度にもめげず、高級スーツをビシッときめ、ネクタイをしめて出社である。

頭のてっぺんから爪先まで一分のスキもなく、すれ違うチュニジア人も愛想笑いを浮かべて、道を開ける。

帝国海軍将校のお通りである。


さて、午前中は事務所で仕事をこなし、昼食の為旧市街に出た筆者である。

チュニス旧市街はどの家も白い漆喰壁に綺麗な青い窓枠が特徴的な、異国情緒あふれる町並みである。行きつけのレストランで店の小僧が恭しく椅子を引くので、「おう、御苦労」と日本語でつぶやきながら、席につこうとして、視界を白いものがよぎったのである。

何故か、こういう時は一瞬にして、何が起こっているか把握できてしまうものであるが、見事にズボンのチャック全開である。

Yシャツのすそがはみ出してすらいる。先ほど視界をよぎった白いものは言うまでもなくYシャツのすそである。

午前中事務所でトイレに行った記憶はないので、朝ズボンを穿いた時から全開だったのであろう。

またしてもトルかま遠隔操作呪いである。

そういえば、今になって思えば、すれ違ったチュニジア人は、愛想笑いを浮かべていたのではなく、嘲笑していたような気もする。